美術とデザインの三年制美術学校(東京都杉並)様々なカリキュラムで美術とデザインを学びます。デザイナー、クリエーター、イラストレーター、アーティスト、作家など様々な分野へのアプローチをサポートします。このサイトはRSS配信を行っております。
ドイツの日本大使館発行の月刊Webマガジン「Neues aus Japan (日本からのニュース)」に時空デザイン科科長の末岡一郎先生の作品が取り上げられられました。
Neues aus Japan今月号の記事は、ドイツの日本大使館・広報文化担当者が、6月にベルリンで行なわれた国際映画祭「 Les Rencontres Internationales」に出品した末岡先生の作品「Ein Sommer inDeutschland (独逸のひと夏) 」を観て、「ドイツの雑誌で紹介したい」と映画祭経由の依頼によるものです。このWebマガジンは、ドイツで行なわれた日本関連の文化紹介を目的にしています。「日本の映画紹介」という記事で、末岡先生が紹介されました。
【Neues aus Japan】→http://www.de.emb-japan.go.jp/NaJ/index.htm
【末岡先生の記事】→http://www.de.emb-japan.go.jp/NaJ/NaJ0707/sommer.htm
【参考映画祭】「Les Rencontres Internationales」→http://www.art-action.org/fr_index.htm
【上映プログラム】「Les Rencontres Internationales」→http://www.art-action.org/site/en/prog/07/berlin/prog_06_27.htm
Neues aus Japan 7月号
映画 末岡一郎 「Ein Sommer in Deutschland (独逸のひと夏)」(2005年、7分)
6月25日から30日まで、ベルリンの映画館バビロンミッテで若手映画と現代芸術を紹介する映画祭「Rencontres Internationales」が開催された。この映画祭はベルリンの他にもパリとマドリッドで開催され、各地で同じ作品が紹介される。ドイツを始めとして60カ国から200もの作品が上映され、日本からも末岡一郎が「Berichte in der Geschichte」(歴史のレポート)部門で実験映画作品を出品した。
監督の末岡一郎(1965年生まれ)は短編の実験映画を80作品以上も制作しており、世界各地の実験映画祭に参加している。この作品は実験映画を歴史的観点から見直すことをテーマとした「Re-interpretation for the private films」シリーズの中の一作品である。
末岡は、1931年にベルリンに駐在していたある外交官がプライベートで撮った映画を偶然見つけ、それの一部を取り出し、映像を重ね、モノトーンな音を入れて「独逸のひと夏」を制作した。この映画は、一人の日本人が第二次世界大戦前にドイツ各地を訪れた際のモノクロの記録映像であり、ベルリン郊外のハーヴェル湖でボートを漕ぐドイツ人、クジャク島の緑の中を優雅に歩くクジャクや散歩する人々が撮影されている。ツェッペリン号の着陸の場面では、巨大な飛行船が到着するのを待ち受ける大衆の様子が記録されており、その他にもラウズィッツ地方のお祭りでは民族衣装を着た女性たちやダンス、カヌーを漕ぐドイツ人家族、雄大なツークシュピッツェの山頂や氷河の万年雪、ライン川の急流とそびえるローレライの岸壁が記録されている。
もしかして70年以上前にドイツを訪れた日本人も、現在、ドイツに来る日本人観光客も同じようなテーマを写真やビデオで撮っているのかもしれない。ただ、末岡は、もちろん、この映画は単なる「ホームムービー」かもしれないが、映画を注意深く見てみてみると、1920年代の映画監督と同じ繊細さ、そして、かつて日本人の持っていた美意識を感じさせる。ベルリンでの映画祭の主催者は、「この映画ではドイツはエキゾチックな対象であり、ドイツのいわゆる「クリシェ」と言えるかも知れない。しかし、1931年に撮られた映像に映っている「クリシェ」の風景、人物、風習は恐らく戦争で失われただろう。その「クリシェ」は消えてしまったと言えないだろうか」と映画の感想を述べた。この映画は、7分間の短い映画だが観客に歴史について考えさせ、観客は「クリシェ」とは何かを考えさられる。