卵とオイルと顔料と。100年先も鮮やかなテンペラの技法をご紹介

卵とオイル、軽量カップ…
これから料理が始まるのかと思いきや、実は絵画表現科の「古典技法」授業で講師の崔先生から、配合や手順などをご教授いただきながら「テンペラ」の展色剤を作っているところ。
卵とオイルを混ぜてマヨネーズ状(エマルジョン)にしたら展色剤のできあがり。
これに顔料を混ぜて、支持体(紙や木材、キャンバスなどに石膏を施して乾かした後、表面の凹凸を紙ヤスリで丁寧にとったもの)に絵を描いていきます。
一度描かれたテンペラは経年劣化に強く、何年経っても鮮やかな色を保ち続けるのが特徴。 今回テンペラで制作した学生の作品も100年後、今と変わらぬ発色を保っていることでしょう。
作品は劣化に強いテンペラですが、展色剤は材料がナマモノのため容器に入れ冷蔵保存で6ヶ月程度、とチューブ入りの絵具と比べると短いのがネックです。
しかし、現代では”テンペラ絵具をチューブ化したい”という思いから絵具メーカーの「クサカベ」から「アキーラ」という商品が出ています。

崔先生に詳しいお話を伺いました。
“「アキーラ」はチューブ化するにあたりメディウムに使用する卵の代わりに水性アルキド樹脂を用い、高性能有機顔料で練られた絵の具のため、鮮やかに発色をします。
「アキーラ」はエマルジョン絵具で、チューブからそのまま混色しても、水で希釈しても使用できます。
水分蒸発の後に酸化重合して定着するため、アクリル絵具とは定着の仕方が全く違い、ゆっくり乾燥し時間をかけて描画をすることが可能です。
支持体は紙・布・キャンバス・木・ガラスなど選ばずに描くことができます。
クサカベが10年間の研究期間を経て生まれた、とても使い易い絵具です。”

画材も日々進化をしているのですね。
描画技術はもちろん、こうした画材の特徴や扱い方を学ぶのも絵画表現科の醍醐味です!
2017/07/13