背景のストーリーを紐解きながら、作品を見る。 石井勇一さん個展「SINK,OUT」

学芸大学駅から5分ほど歩くと、住宅街にひっそりと現れる古書店「BOOK AN SONS」。 タイポグラフィを中心とした、様々なグラフィックデザインの書籍が取り揃えており デザインに興味がある人にはたまらない空間となっています。

更に楽しめるイベントが、現在併設ギャラリーにて開催中です。
今年度アカデミー賞受賞映画「ムーンライト」の日本版ビジュアルを手掛け、世界中で話題を集めた 卒業生の石井勇一さん(アートディレクター/OTUA株式会社)個展「SINK,OUT」が6/18(日)まで催されます。
「当初は、展示をお断りするつもりだった」と話す石井さん。
開催に至るまでの経緯を解明するため、レセプションにお邪魔しました。

当日はデザイナーや関係者などで賑わい、作品の素材・印刷方法を興味深く見ている方が目立ちました。
それもそのはず、世界三大広告賞の1つである“ONE SHOW”のMerit Awardに輝いた『GIRL WITH A COLORING DROP(真珠の耳飾りの少女)』や、世界的なデザインアワード“LONDON D&AD賞”のグラフィックデザイン部門 BRONZE賞に選ばれた、SAWA TAKAIさんの名刺も展示されていました。
今回は、近年発表したグラフィック作品を一挙に公開し、対象に深く向き合う石井さんの姿勢が存分に表れています。

在廊していた石井さんに、個展についてお話を伺いました。
「今回の個展は、ご提案をいただいて開催に至りました。自分自身、自由に表現したいものがないと言いますか、アーティストタイプではないため、当初はお断りするつもりでした。ただ、このご縁は大事にしたいと思って。
そこで、大半の時間を掛けている“思考”にフォーカスを当て、この深い宇宙のような景色を、色々な人と共有できないかと考えました。知人のライターである三坂 輝氏に相談したところ、『SINK,OUT』(SINK=沈む、OUT=取り出す)というタイトルをつけていただき、本質に深く沈み、本質を追究するという意味を込めました。
これは社名であり、自分の基本姿勢であるOTUA(AUTOの反自動化)、つまりオートマティックでない丁寧な作品づくり、という部分に繋がっているのだと思います。

ビジュアルはタイトルの『SINK,OUT』から派生して、ゴールドのインクを1,2滴垂らしたものを、iPhoneで一発撮りしたものです。真珠の耳飾りの少女を出展した際もそうですが、実験的な試みや素材などの対象に歩み寄ることで、見えてくる独自性を表現したいですね。クリエイターにかかわらず、表現する方にとって楽しめる内容になっているので、是非ふらりとお越しいただけたらと思います。」

なお、石井さんには8/3(木)10:30~より、本校にて開催される「おしごと説明会」にご登場いただきます。
最前線で活躍する石井さんのお話を、直接聞くことができる貴重な機会を、是非お見逃しなく。
インフォメーション
会場 BOOK AND SONS
開催日時 5/27(土)-6/18(日)
12:00~19:00
※定休日:水曜
石井さんHP Facebookページ OTUA Co.,Ltd.
OTUA
2017/06/09